2021年1月号優秀作品その2(6年生Mさん)

アスベスト、この物質は10年以上の潜伏期間の後、肺がん等を発症させる。国がいつの時点で危険性を認識したのか、個人で仕事を請け負ういわゆる「一人親方」に対して賠償責任があるのか、それに建材メーカーに賠償責任があるのかが大きな争点となった裁判では、各地の判決で判断が分かれた。そしてやっと最高裁が国の責任を認め、賠償金の支払いを命じた。

 国はアスベストの危険性を認識しながら保護マスクの着用を義務づけることや、アスベストを使った建材の製造を禁止するといった安全対策を怠った。人はすぐ死ぬ。いともたやすく。国はそれを全く理解できていないのではないか。これは、言ってみれば、人を駒のように見ているという事である。今なら考えられないが、当時の事情としてやむを得ないものの、国としてどうかと私は思う。

 人類はその後のことを考えずに常に行動してきている。未来は確かに分からない。正しいと信じていた道が正しくなかったということもあるだろう。そんなときでも犯してしまった間違いを謝ることぐらいはできるはずだ。ただ、謝罪したからといって、そもそも過ちを防ぐことができるわけではない。考え方を変えるべきだ。「どうすれば防げる?」ではなく「どうしたら対処できるか」と。根本的な考え方から変えなければ過ちなんて防げるわけない。根本的な考え方を変えない人間が何かを変えようとしてもその行動はただの夢物語である。

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(添削者から)
大人っぽい文章でしっかりと自分の意見を述べてくれています。同時に、表現の工夫が随所に見られ、「読ませる」文章に仕上がっていました。